酒井硝子は1906年(明治39年)に米問屋を営んでいた初代熊童が硝子工場を知人より引き継ぎ2021年現在で満115年を迎える事が出来ました。これもひとえに皆様のご指導、ご鞭撻と数多のご支援の賜物だと社員一同、心から感謝しております。
さて、ここ数年アルコール飲料や食品調味料に使用される容器が他素材に移り変わり、ガラス容器が減少の一途を辿る中、今日まで半人工製法で生み出されるガラスびんにこだわって参りました。
それは、どんなに利便性や合理性を求められる現在においても”人の手”によって生み出される製品は、いつの世でも安らぎとぬくもりを与えてくれるからです。
しかし、顧客ニーズが激しく移り行く中で、伝統に固執し停滞したままでは世間の流れから取り残され、いずれ自然に消滅してしまいます。
戦後、関西で三十数社存在した半人工によるガラスびんメーカーも今では弊社1社となり、日本国内を見ても数社になってしまいました。
このような状況で現在、弊社が生き残って来られたのは全数検査による、厳しい品質規格に合格した製品だけをお客様に提供し続けた結果だと考えております。
今後、お客様に必要とされる半人工メーカーとして存続していく為には、ものづくりにおける意識改革と技術開発など、不断の努力が必要と考えております。
今後もお客様の中身に掛ける思いや情熱を容器で表現する事を目標に、得意とする「びん色」「形状デザイン」だけでなく工芸品の持つぬくもりや高級感を工業製品で表現するため、鉛を使用しないクリスタルの開発、精度の高いコルク口やガラス栓の製法の開発、より輝きを持たせるための、ファイアーポリッシング設備やガラス研磨やカット等の加飾を行える加工室を新設しました。また、安心して酒井硝子製品をお使いいただけるよう、今迄以上にガラス品質向上と安定化を図るため、最新の分析機器を導入いたしました。
私が社長就任以来掲げて参りました“良いものづくりは先ず人づくりから”を念頭に製造現場においてもISO9001の取得やTPM(総合生産保全)等で学んだ管理手法を酒井硝子独自の管理システムに取り入れながら、モノを作るだけの職人ではなくモノを創り出す、職人の育成に努めてまいります。
これからも私たちは、”製造業は創造業“の思いを胸に抱きながら社員一人一人がクリエイター(創造者)である事を自覚し皆様のガラスびんに対する期待と思いを創造する力に変えて、パッケージ素材としてのガラスの新しい可能性や美しさを追求、提案し、於いては工夫し創る(作る)ことの楽しさと、ガラスびんを手に取る皆様の笑顔を作っていける「創造(ものづくり)企業」を目指してまいります。
製びん職人
/*4工程それぞれ職人が連携でびんを製造。
*/